こんにちは、RESCUE4thです。
居住地における地震発生率
自然災害はいつどんな時に襲ってくるかはわかりません。なので、日頃からの備えが必要…というのは、当然ではあるのですが、それにしても「今後30年以内に80%の確率で〜」とか「今後40年以内に90%の確率で〜」とか「過去300年間噴火していないので、そろそろいつおきてもおかしくない」など、地震や火山の噴火の発生が、確率 で計算されているのも事実なのです。
ただ、今年の夏はちょっと視点を変えて調べてみてはいかがでしょうか?
これまでの地震発生の確率は「震源地ベース」でした。このRESCUE4thサイトでも、震源地別の過去の地震情報を掲載していますが、少し視点を変えて「いま住んでいる街の地震発生確率はどうなんだろう?」と調べてみるのも面白いかもしれません。
住んでいる街が、いろいろな震源地の地震によって震度1以上のゆれが観測されたデータを活用することによって、震源地視点ではなく、居住地視点の地震発生率を調べてみるのもおもしろいかもしれません。
気象庁が公開している[震度データベース検索]を使うと、それがすぐにわかるのです。
震度データベース検索
このウェブサイトの最初の画面では「震源地別の地震」が表示されています。
通常ならば、どこが震源地となって起きた地震を調べたり、その震源地で発生する地震の発生確率を計算したりしますが、今年の夏休みの自由研究では、ページ右下のほうにある
観測された震度・震源要素を指定して検索
を使ってみたいと思います。
震度観測点
震度観測点には、気象庁震度観測点(671箇所)、地方公共団体(2914箇所)、国立研究開発法人防災科学技術研究所(794箇所)の合計4379箇所の観測点が日本全土に設定されています。
地震観測施設一覧|地震本部
震度データベース検索で、住んでいる地域の震度を検索
ではさっそく、気象庁の震度データベース検索で、自分の住んでいる地域が、これまで[どこで起きた地震]によって、[住んでいる場所の震度]がどのくらいだったのかを検索してみます。
例)埼玉県深谷市の場合
- 気象庁の震度データベース検索を表示 https://www.data.jma.go.jp/eqdb/data/shindo/index.html
- ページ右側で、検索の条件を指定します。
- 観測された震度・震源要素を指定して検索 をクリックすると、地域名の選択ができます。
- 以上の指定ができたら、右上のオレンジ色の[地震を検索]をクリックします。
- 検索結果
- 日本地図上の色のついた●は、左下の判例にあるとおり、それぞれの震源地の地震の規模と深さを表しています。注意:ここでは検索結果地震数が658件でしたが、地域によっては検索結果地震数が1000を超える場合があります。1000件を超えてしまうと、検索順の1000件までの表示しかされません。1000を超えた場合は、発生日時を変更して残りの分の地震データを検索する必要があります。
- ここからが重要です。画面右上のリストのアイコンをクリックします。
- ここで表示されるのが、観測された地域における震度の一覧になります。
- リストは左から、
- 地震の発生日時
- 地震の震央地名(震源地)
- 地震の深さ
- 地震のマグニチュード
- その地震によって観測された最大震度
- 検索対象最大震度(観測された地域の最大震度:ここでは埼玉県深谷市川本)
- さらに、この表の右にあるスクロースバーを一番下まで移動させます。
- リストの一番したに、[CSVダウンロード]のボタンが表示されるので、そこをクリック
- CSVファイルをダウンロードしますか?の表示がでたら[OK]をクリック
- ブラウザ指定のダウンロードフォルダにダウンロードされます。
ファイル名は 地震リスト.csv です。 - この地震リスト.csvを、Excelなどの表計算ソフトやデータベースソフトで開くと、1919/01/01 00:00〜今日まで、その地域で観測された地震の震度一覧を得ることができます。CSVファイルには、震央の緯度、経度も含まれています。
- 検索結果
ちょっと下の画面にもどって地震リストからわかること確認します。
この画面左側に表示されているリストは、一番上の行にある[地震の発生日時][震央地名][深さ][M(マグニチュード)][最大震度][検索対象最大震度]をそれぞれクリックすると、昇順/降順の並べ替えができます。
気になるとことしては、[検索対象最大震度]をクリックしてみましょう。
ここからわかることは、対象地域である[埼玉県深谷市川本]における地震による揺れ(震度)は
- 最大震度は5強である
- 震度7は0回
- 震度6は0回
- 震度5強は1回
- 震度5弱は0回
- 震度4は7回
と数えることができます。埼玉県深谷市川本において過去103年間で地震で一番揺れたのが、あの東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震によってのみであることがわかります。
震度データベースから統計データを得る
ここで得られたCSVをExcelなどの表計算ソフトで確認しましたが、このデータから必要な統計データを得る作業を行います。
今回の統計では、不要な情報はばっさりと切り捨て、残す情報は[地震の発生日]と[検索対象最大震度]だけとします。(大胆すぎで驚くかもしれませんが、地震そのもののメカニズムや頻度よりも、気になるのは住んでいる土地が過去どのくらい地震の揺れを感じたかを統計データによって明らかにすることです)
- 検索の際の日時指定は、1919/01/01〜2022/07/19 まで
- 地震による揺れが観測された最古日時は、1997/11/29
- 地震による揺れが観測された最新日時は、2022/06/19
- その間、8968日(およそ25年間)
- 最大震度は、震度5強
- 最小震度は、震度1
- 地震の観測回数
- 震度7 0回
- 震度6強 0回
- 震度6弱 0回
- 震度5強 1回
- 震度5弱 0回
- 震度4 7回
- 震度3 46回
- 震度2 206回
- 震度1 398回
- 合計 658回
上記の情報を得ることができます。ここから単純な計算として平均値を出してみると、次のようなことがわかります。
- 8968日の中で震度1以上の地震は658回観測された → 13.6日に1回は震度1以上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度2以上の地震は260回観測された→34.5日に1回は震度2以上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度3以上の地震は54回観測された→166日に1回は震度3位上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度4以上の地震は8回観測された→1121日に1回は震度4以上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度5弱以上の地震は1回観測された→8968日に1回は震度5弱以上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度5強以上の地震は1回観測された→8968日に1回は震度5強以上の地震が発生する確率が高い
- 8968日の中で震度6弱以上の地震は観測されなかった→発生確率の予想はできない
- 8968日の中で震度6強以上の地震は観測されなかった→発生確率の予想はできない
- 8968日の中で震度7以上の地震は観測されなかった→発生確率の予想はできない
さらにここから、最新の地震観測日から考えると
- 2022/06/19から13.6日後(2022/07/02)までに震度1以上の地震が発生する確率が高い(あれ?)
- 2022/06/19から34.5日後(2022/07/23)までに震度2以上の地震が発生する確率が高い
- 2022/06/19から166日後(2022/12/02)までに震度3以上の地震が発生する確率が高い
- 2022/06/19から1121日後(2025/07/14)までに震度4以上の地震が発生する確率が高い
- 2022/06/19から8969日後(2047/01/07)までに震度5弱以上の地震が発生する確率が高い
- 2022/06/19から8969日後(2047/01/07)までに震度5強以上の地震が発生する確率が高い
観測地での震度 | 8969日間で発生した回数 | 平均 |
震度1以上 | 658回 | 13.6日(およそ二週間) |
震度2以上 | 260回 | 34.5日(およそ一ヶ月) |
震度3以上 | 54回 | 166日(およそ半年) |
震度4以上 | 8回 | 1121日(およそ3年) |
震度5弱以上 | 1回 | 8969日(およそ25年) |
震度5強以上 | 1回 | 8969日 |
震度6弱以上 | 0回 | 計算不可 |
震度6強以上 | 0回 | 計算不可 |
震度7以上 | 0回 | 計算不可 |
単純計算として、以上のようなことを計算することができたりします。
まぁ、こんな簡単な計算で地震予測ができるとは思いませんし、たかだか25年分の震度データだけで予測などできるものではありませんが、ひとつの指標(目安)として、今自分が住んでいる場所での地震の揺れ方を計算してみるのも、日頃からの防災に対する関心のひとつとしてみてはいかがでしょうか?
また、複数の地点を比較してみるのも良いと思います。少なくとも、日本に住んでいる限り地震の被害を免れることはできませんが、どこがどこよりも地震の被害が少ない(これまでにおいて)は、計算することができます。
もしも、これから移住を考えるときには、そんなこともひとつの要素にしてみるのもよいかと思います。
関連リンク
- 震度データベース検索|気象庁
かつては「ノストラダムスの大予言」で来たるべき日の目撃者となる予定だったが幸いにも恐怖の大王はこなかった。しかし平成に入って阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめ数多くの自然災害がこの国を襲い、世界各所においても巨大災害が発生している。また毎年のようにゲリラ豪雨や大型台風による風水害、熱中症による死に至る体調不良が頻発し続ける令和の時代において、自然災害にいかに備えるか。ソフトウェア防災から個人装備品など、自然災害に対して自分でできることは何かを考えながら書き綴ります。
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