【解説】日本の「耐震基準」が変わった”宮城県沖地震”から44年
“都市型災害”といわれる「宮城県沖地震」の発生から今月12日で44年となります。日本の「耐震基準」を変えるきっかけになったこの地震はどんな被害の特徴があるのか?今後の地震活動は?社会部災害担当・内藤ミカ記者が解説します。【週刊地震ニュース】
■先月30日からの週は震度3以上が3回発生
先月30日から今月5日まで国内では震度1以上の地震が33回発生しました。このうち震度3以上の地震は3回ありました。▼先月31日午前4時32分、熊本地方を震源とする地震は、マグニチュードは3.8、震源の深さは9キロ。熊本県八代市で震度3の揺れを観測しました。この地震のメカニズムは、東西方向から圧力を受けたことでおきた横ずれ断層タイプの地震でした。
▼今月1日午前10時19分頃、北海道千歳市で震度3の揺れを観測。震源は日高地方西部、マグニチュードは4.3、震源の深さは102キロと深い地震となりました。
▼今月3日の午後1時29分頃、石川県珠洲市で震度3の揺れを観測。震源は石川県能登地方、マグニチュードは3.9、震源の深さは13キロ。このあたりで続く群発地震の1つとみられます。
■「宮城県沖地震」から44年 近代化した日本で初の“都市型災害”で何が
今月12日は1978年に発生した宮城県沖地震から44年です。宮城県沖を震源とした、この地震のマグニチュードは7.4。死者28人、ケガ人は1300人あまり。建物の全半壊は約7000棟にのぼりました。特に大都市・仙台市で被害が大きく、その被害の特徴から「都市型の災害」と言われています。宮城県ではこの6月12日を「みやぎ県民防災の日」と定めていて、防災訓練など地震への備えを改めて考える日としています。
■宮城県沖地震の被害の特徴は
▼死者28人のうち18人がブロック塀や門柱の倒壊に巻きこまれて犠牲に。▼電気・ガス・水道などライフラインが寸断され、復旧まで最大1か月の時間を要しました。
▼安否確認等の電話が殺到し、2日間にわたって通信機能障害が発生しました。
■宮城県沖地震をきっかけに変わった日本の「耐震基準」
宮城県沖地震を契機に災害対策で大きく変わったことがありました。それが「耐震基準」です。建築基準法は1981年(昭和56年)に改正されました。それまでの耐震基準は震度5の揺れで建築物が倒壊・崩壊しないことが基準とされていました。宮城沖地震を契機に改正された1981年(昭和56年)の新耐震基準では震度6強から7でも倒壊・崩壊しないことを基準としました。結果、建物の耐震性能が格段に向上しています。
■熊本地震 新耐震基準の建物はほぼ倒壊なし
2016年に発生した熊本地震では旧耐震基準の建物の約3割が倒壊しました。それに比べて新耐震基準の建物はほとんど倒壊しなかったという調査結果も出ています。1995年の阪神・淡路大震災でも、この耐震基準改正以降に建てられた家は被害が少なかったとされています。
■宮城県沖 今後の地震活動は?
宮城県沖は東日本大震災前は、今後30年以内の発生確率が99%と国内で最も地震発生の確率が高かった地域です。今後の地震活動について地震の専門家、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは「宮城県沖は地震が起きやすい場所。11年前に東日本大震災が発生したから、しばらく発生しないとは考えてはいけない」「次の宮城県沖地震が発生する間隔が短くなることも指摘されている」と話しています。
宮城県沖はこれまでも35年から40年くらいの間隔でマグニチュード7前半の地震が繰り返しおきてきたエリアです。
政府の地震調査委員会は1978年と同様の宮城県沖でマグニチュード7.4前後の地震が30年以内に発生する確率を今年1月1日時点で70%から80%としています。
地震に強い住宅を作るとなると、家の建て替えなど費用や時間も要します。今すぐ出来る対策として、家具の固定など個人できる備えも合わせて地震対策を進めて欲しいと思います。
(2022年6月6日放送)
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かつては「ノストラダムスの大予言」で来たるべき日の目撃者となる予定だったが幸いにも恐怖の大王はこなかった。しかし平成に入って阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめ数多くの自然災害がこの国を襲い、世界各所においても巨大災害が発生している。また毎年のようにゲリラ豪雨や大型台風による風水害、熱中症による死に至る体調不良が頻発し続ける令和の時代において、自然災害にいかに備えるか。ソフトウェア防災から個人装備品など、自然災害に対して自分でできることは何かを考えながら書き綴ります。
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