【解説】衛星を使い地面の動きを”ミリ単位で追尾” 今の地震と次の地震の姿は?
発生が切迫しているとされる南海トラフ巨大地震。引き金となる国土のうねりが一目瞭然で見えるGNSS。群発地震が発生している能登半島でも特殊な変動を観測。社会部災害担当・中村洋介デスクが解説します。
■先週は震度1以上の地震が36回発生、宗谷海峡で異常震域地震も 能登地方の地震活動続く
▼6月29日、午前9時20分に有明海の深さ10キロを震源とする地震が発生。熊本市や上天草市で震度3を観測しました。マグニチュードは3.9で地殻内で発生した地震でした。
▼7月2日、午前11時ごろ宗谷海峡を震源とする地震がありました。
北海道の猿払村と青森県の階上町で震度3を観測しました。マグニチュードは5.9。震源が324キロと深く、異常震域といわれ、震源から遠く離れた場所で揺れる珍しいタイプの地震でした。
▼6月19日に、最大震度6弱の地震が発生した石川県能登地方。
震度2が1回、震度1が2回と揺れは大きくありませんでしたが地震活動は続いています。
■24時間365日、日本列島のうごめきを監視するGNSS
日々動き続ける、日本の地面。その動きを監視するため、上空約2万キロを周回するGPS衛星など30個を使って、地面のミリ単位の動きを測定するGNSSという観測技術があります。
国土地理院は、電子基準点を全国1318か所に設置し、地面の動きを監視しています。
日本周辺では複数のプレートがぶつかり合っていて、国土は活発の動き続けているため、電子基準点の設置間隔は、世界でも類を見ないほど密なものです
■日本列島はまるで”生き物”赤い矢印が示す地面の動き
この1年間で、全ての電子基準点がどの方向にどれだけ動いたのか。水平方向の動きを赤い矢印で表すと、日本はまるで生き物のようにうねって見えます。
東北地方はこの1年、東へ動いています。
2011年に発生した東日本大震災前までは、この逆でした。
東から寄せる海側のプレートに押されて、東北地方がのる陸側のプレートは西へと移動していたのです。
ところが限界に達した陸側のプレートが東日本大震災で跳ね戻ったため、東北は東へと動き、震災から11年が経過した今も、その動きは続いています。
■南海トラフ巨大地震の震源エリアでおきていることは?GNSS観測から分かること
一方で関東以西の東海や近畿地方の電子基準点における、この1年の動きは今の東北地方とは逆になっています。海側のプレートが北西に移動しつづけ陸側のプレートを北西に押し続けているためです。
これは東日本大震災以前の東北地方と同じ状況です。
いずれ陸側のプレートが限界に達して、跳ね戻るとされていて、それが発生が切迫するとされる南海トラフ巨大地震です。
今後40年以内の発生確率は、90%程度とされています。
■震度6弱はじめ群発地震続く、石川県能登半島の電子基準点の動きは?1点だけ謎の動きが
6月19日に震度6弱を記録し今も地震が続く、石川県の能登半島のGNSSデータも興味深いものです。北陸地方全体が北西方向に動く中、地震が頻発している石川・珠洲市の電子基準点だけが、南方向へと違った動きをしているのです。
こうしたGNSSデータから地震の研究者の中には能登半島でおきている地震が、通常の地震とは異なり地下に水が溜まり、周囲を圧迫することで生じているとの見方があります。
■約4センチ隆起!水平方向の動きだけでなく垂直方向の動きも克明に分かるGNSS
GNSSがとらえた珠洲市の垂直方向の動きも意味深いものです。この地方で地震が頻発し始めた2020年12月以降、地面が隆起を続けています。その量はこれまでに4センチ。現在のところ隆起がおさまる兆候は確認されていないということです。
日本がどのようにひずみ続けているかを描き出すGNSS。
データは国土地理院のホームページで公開されていて見ることができます。
(2022年7月4日放送)
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かつては「ノストラダムスの大予言」で来たるべき日の目撃者となる予定だったが幸いにも恐怖の大王はこなかった。しかし平成に入って阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめ数多くの自然災害がこの国を襲い、世界各所においても巨大災害が発生している。また毎年のようにゲリラ豪雨や大型台風による風水害、熱中症による死に至る体調不良が頻発し続ける令和の時代において、自然災害にいかに備えるか。ソフトウェア防災から個人装備品など、自然災害に対して自分でできることは何かを考えながら書き綴ります。
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